▼【NPO法人健康を考えるつどいブログ】

自律神経の乱れが体の不調を招く By 豊岡倫郎 2019-12-27

1.自律神経失調症という病気がある

これは不規則な生活やストレスなどによって、自律神経のバランスが乱れるために起こる、様々な体の不調のことで、はっきりとした内臓や器官の病変によるものでない。従って症状の現れ方も不安定であるし、体全体に広範囲に自律神経が張り巡らされているので症状も複雑である。

2.自律神経とは

読んで字のごとく、体が我々の意志とは関係なく、内外からの情報や刺激に対して、自動的に反応する神経で、呼吸、血液循環、体温調節、消化、排泄、免疫などの機能を、調節している。

自律神経は頭の間脳の視床下部というところにあり、交感神経と副交感神経のふたつから、構成されている。交感神経は主に昼に働き、筋肉の緊張を保つ、心臓の鼓動を早める、呼吸を早める、脂肪を分解してエネルギーを生み出すなどの働きをしている。それに対して副交感神経は主に夜に働き、胃腸の働きを促進して、使用可や排せつをスムーズにする、脂肪を蓄積する、筋肉の緊張をゆるめる、脈や呼吸を穏やかにする、血管を広げてリラックス状態に導くなどの働きをしている。この二つの神経がバランスを保ちながら、順調に働いていれば、心身ともに快調に生体を維持できるが、ところが体内外の環境の変化に対応できずに、バランスが崩れると、心身に色々な不調を起こる。

3.自律神経のバランスとは何か

最近の研究の進歩によって、交感神経と副交感神経夫々の強さを測定することが出来るようになった。

自律神経のバランスは4つのタイプに分けられる。

  1. 交感神経も副交感神経も高いタイプ・・・理想的で集中力も高くて、冷静さを保ちながら、行動できるタイプ。
  2. 交感神経が高く、副交感神経が極端に低いタイプ・・・ストレスなどでイライラすることが多く、血流が悪くなり、免疫力が下がり、病気になりやすい。頑張りすぎる。
  3. 交感神経が低く、副交感神経が極端に高いタイプ・・・注意力が散漫になり、ミスをしがち。いつも眠たい、体がだるいといった状態になる。
  4. 交感神経も副交感神経も低いタイプ・・・ぐったりして、体調がよくない状態。

4.自律神経のバランスの不調によって生ずる症状の数々

頭痛、耳鳴り、倦怠感、動悸、息切れ、手足のしびれや痛み、胃の不快感、下痢、便秘、肩こり、筋肉の痛み、生理不順、めまい、微熱、ふらつく、血圧や心拍数の乱れ、発汗の異常、ほてり、食欲不振、精力減退、睡眠障害、朝起きれない、イライラする、怒りっぽい、不安感や恐怖心、集中力低下、やる気が出ない、悲しくなる、直ぐ落ち込むなど。これ等の症状は人によって、ひとつだけの時も、いくつかが重なって出ることもある。出たりでなかったりすることもある。症状の軽重もある。これらの症状は別の病気を持っている時も発症するから、早く専門医の診断を受けることが肝要である。

5.自律神経のバランスが崩れる要因

1)加齢

30歳を過ぎると加齢と共に少しづつ自律神経の働きは低下してゆく。10年で15%づつ低下してゆく。特に副交感神経の働きの低下の方が早い。

2)ストレスや怒り

交感神経が高まり、白血球の顆粒球が増えて、免疫力を低下させる。活性酸素も増える。血流が悪くなる。

3)睡眠不足

日が暮れ夜になると共に副交感神経の働き高まる時に、睡眠が充分取れないと、自律神経のバランスが狂う。

4)不規則な生活

体の生理には一日の中でのリズムがある。朝起きるのが遅く、夜寝るのも遅いとか、食事の時間もまちまちなどは自律神経を狂わす。

5)運動不足や骨格の歪み

適度に体を動かさないと、体の摂理は十分に機能しないし、ましてや骨格が歪んでいては、背骨の椎骨の間から出ている神経も機能しない。そして姿勢も悪くなり、呼吸が浅くなり、副交感神経が働かない。

6)不適切な食事

過食や便秘など食の間違いは腸内環境を悪化させて、きれいな血液が作られない。腸内環境の悪化は脳にも影響を及ぼして、自律神経を狂わす。

7)酒や喫煙

アルコール中毒、ニコチン中毒と言われるように、神経中枢をマヒさせてし まう。自然界にないものは、生体にとって異物である。

8)季節の変わり目

日本には四季がある。冬から春になると、心の病が出るのは交感神経から副交感神経への切り替え時期であり、夏から秋先にかけて風邪を引くのは、副交感神経から交感神経への過渡期にあるからである。真冬のインフルエンザの流行も交感神経が高ぶり、血流が悪くなり、白血球の顆粒球が増えて、免疫力が低下するからである。

9)女性ホルモンや甲状腺ホルモンの変調が自律神経の安定を乱す。

6.自律神経の健全な働きを取り戻すには

  1. 規則正しい生活をする・・・早寝早起き、十分な睡眠を確保する。
  2. 正しい食事をする・・・過食しない、腸内環境を悪化させるものを食しない。便通を付ける。飲酒を控える。偏食しない。間食しない。
  3. 適度な運動をする・・・毎日十五分でよいから、健康体操をする。その中には有酸素運動の深い呼吸、筋肉の強化と維持、骨格の矯正が含まれている体操が良い。
  4. 笑う・・・リラックスできて、副交感神経が高まる。ゆったりとした好きな音楽を聴く。
  5. 体を冷やさない・・・冷たいビールや清涼飲料水を飲まない。季節の旬の野菜を摂る。
  6. ストレスに強くなる・・・ストレスに負けない強靭な精神力を養う努力をするにはどうしたらよいか、自分の弱点を知り、対策を講じる。訓練すればストレスに強くなる。

7.まとめ

1)複雑な社会環境の中でストレスが増す要因が増えている。そんな社会で精神的にも、肉体的にも快適に過ごす道を自ら見つけだすことが、必須となってきた。

2)健康管理の原則のひとつに、「医者に治してもらう病気と自分で治す病気がある」。さしずめ今回の自律神経失調症は薬を服用すれば治るというものではなさそうな気がする。

3)自律神経失調症の症状は複雑多岐にわたっている。何か一つのことをすれば解消するものではない。日頃から知育、体育、食育の三育に対するバランスのとれた努力が必須となる。
例えば健康を維持し長寿のためには最低限どんな知識が必要か、慢心することなく、真摯に受け止めて、間違った生活習慣を見直したいものである。

4)自律神経は自分の意志ではコントロール出来ないが、自律神経に影響を及ぼす要因はコントロールできる。

おわり

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