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健康常識の盲点 その4 By 豊岡倫郎氏 2021-12-29

1.思い込みは恐ろしい
小さい時から、機会あるごとに、何度も何度も同じことを見たり、聞かされていると、それが真実だと思い込んでしまうものである。
健康常識についても然りである。またそれが多数派意見である時は、少数派意見に遭遇することも少なく、鵜呑みしている場合もある。
ましてやそれに疑問を抱かねば、本質を知ろうとしないものである。それが命を左右する問題の時は、なんと恐ろしい事か。

2.朝食を抜くと、体に良くないと、一般に言われている。
現代医学の医者たちの主張は、朝食はその日の活動のエネルギーを補う大切なものとして、栄養のあるものをたっぷり食べるべきだという。
そして朝食抜きは、頭脳の働きを悪くし、貧血を招くとか、午前中の活力が抜けてしまうとか、あるいはまた、肥満の原因になるなどと
警告を発している。
果たして、これらの主張は正しいのだろうか。これに対する解答となる事例を以下ご紹介する。
昭和52年8月に大阪大学、有害食品研究会主催の夏季キャンプ生活が開かれた。参加者は主に東京、大阪、神奈川、高知、和歌山の
小・中・高校の養護教諭の方が約70名で、目的は子供たちの健康管理に処するための具体策を見つける為のものだった。
キャンプ内容は甲田光雄博士の指導の下に、少食療法とはどんなものかを実践した。先ず一日の総摂取熱量を約800キロカロリーにして、
玄米がゆを主食として、一食に一杯、副食は豆腐半丁とゴマ、トロロコンブ少々だけの食事で、朝食抜きの昼と夕の二回、同じものを
食べる内容であった。期間は1週間から2週間実行した。
その結果は体の力が抜けて、フラフラになるどころか、頭は冴えて、身体は軽くなり、日頃の二倍も働けるという、快適な体調に変わる
ということを大半の人が会得したのである。現代医学の常識からは想像もできない事を体験した養護の先生たちの驚きは大変なものだった。
このキャンプ生活終了後に、6人の養護教諭の方が自主的に、1年間少食生活を実施した。内容は玄米を主食として、一日の総摂取熱量は
1200から1400キロカロリーで、朝食抜きの昼と夕の二食にして、しかも毎週一回の一日断食を継続的に繰り返した。このような厳しい
少食で人並みに働けるだろうか確認したのである。
この少食の期間中は体調の変化、即ち体重、体温、脈拍、疲労度、その他貧血や肝機能も毎月記録した。最初の2か月くらいは体重の減少や
脱力感など多少あったが、その後は回復し、朝食を抜いて、仕事をしても、身体は軽く、いくら動いても疲れ知らずとなり、従来の3食
食べていた時よりもはるかにスタミナもあり、仕事もはかどったことが判明した。ほかに寒さに強くなった、風邪を引かなくなった、
皮膚の色艶が良くなった、手足の荒れが治った。体験者の方たちは、以上の事から今までの健康常識に対して、根本的に疑問抱くことと
なった。これは甲田光雄著「腎臓病と甲田療法」より。

3.朝食抜きの健康効果の理論的根拠
1)午前中は排泄の時間である。
人間は自然界の法則に支配され、順応して体の生理が作られている。午前4時から12時までは排泄の時間帯である。腸や腎臓が体内の
便や尿を排泄するために活動する時であるから、空腹が望ましい。そして昼の12時から20時までは消化、吸収の時間帯である。
食物を摂り、消化吸収の時である。夜の20時から4時までは代謝によって細胞の入れ替わりの時間帯である。代謝とは、ある物質が
化学変化して、全く違ったものになることをいう。この代謝を阻害する行為は夜食と睡眠不足である。

2)人間は飢餓に強いが飽食に弱い。人間の歴史は飢餓の歴史である。体は飢餓に対応できるように作られている。飽食はここ60年位前から
始まったばかり。体には対応できるシステムが作られていない。少食になると、長寿遺伝子Sir2(サーツー)がオンになって、
生命活動が活発になって、老化を遅らせることが解かった。

3)3食きっちりと食べると、フルマラソンに匹敵するくらいエネルギーを消耗するから、明日への為の前向きなエネルギーの余裕がない。
多くのラットや赤毛ザルの実験で、食事量を減らした方が病気に罹らず、長生きすることが証明されている。

4)飽食は消化器を疲弊させて、便秘や宿便の停滞、腸内環境が悪化する。血液が汚濁化し、血管内に余分な脂肪が蓄積し、血流が悪くなる。
少食は逆に上述した現象を発生させない健康体を導いてくれる。

5)自己融解が起きる。少食になると、生きるのに必要なエネルギーの不足分を捻出するために血管内に溜まっている余分な脂肪を利用する
ことにより、動脈硬化や高血圧も好転する。

6)少食によって、消化器の活力が戻り、腸内が綺麗になれば、食べ物の消化吸収力が高まり、必要カロリーも最小限に抑えられる。
しかしその時は食べ物の質を吟味しなければならない。それが玄米であり、生野菜ジュース、豆腐、海藻、小魚、ゴマ、キノコ類
などである。

7)少食には和食が最適であるから、肉や乳製品、卵は勧められない。身土不二がよい。どこの国に日本の子供のように、やれパンだ、
ラーメンだ、ギョウザだ、ピサ゜だ、焼き肉だ、ハンバーグだ、チーズだ、牛乳だと、伝統食を食べない子供がいるだろうか。
日本は崩食した。

4.朝食抜きの2食実行上の注意事項

昨日まで3食食べていた人が急に朝食を食べないと、体は直ぐにそれに対応できない為、ふらつき、めまい、吐き気などの症状が出る
ことがある。また体重も減ってゆく。しかし体が朝食抜きに慣れてくると、体はそれに対応して、体重も元に戻り始める。
これを甲田カーブという。
順調に朝食抜きの2食を進めるには、朝食の代わりに野菜ジュースを飲むとか、朝食の量を徐々に減らすなど、無理をしないことである。
しかし少なくともこれを実行する時は、間食や夜食は勿論の事、白いご飯や白いパン、肉や乳製品は最小限にとどめ、酒や甘い物も
控えることが肝要である。ましてや朝食を抜いた分を昼や夜の食事量を増やしてはいけない。
詳細は甲田光雄著「腸をキレイにする」参照。

5.まとめ

1)4回にわたり健康常識の盲点を書きましたが、ここで総括すると、病気には必ず原因があるということを忘れてはいけない。
それもあなた自身が作り出したものである事。高血圧、糖尿病、ガン、心臓疾患、高脂血症、肥満、アリルギー症などの生活習慣病は
高脂肪、高蛋白の欧米食の大食が招いたものである。

2)病気の原因には、食事の間違いの外に運動不足と骨格の歪み、そしてストレスがある。

3)もうひとつの大きな盲点がある。それは飲酒と甘いものの摂り過ぎである。どちらも嗜好品であるが、体に悪いことは、身近に多くの
症例を見聞してきても、なかなか止められないものである。秘訣は崇高な生きがいや人生の目標を持つことで、節度を維持できるのでは
なかろうか。

4)現代の日本の医療制度では、食事療法を重視していない。この片手落ちの医療制度が続く限り、上述した生活習慣病は減らないのでは
なかろうか。

おわり

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