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【健康情報】慢性炎症は万病の元 By 豊岡倫郎 氏 2022年7月28日

1.聞きなれない慢性炎症の恐怖

最近の研究によると、体内の至る所で慢性炎症と呼ばれている慢性的な微小な炎症が発症していて、それが生活習慣病を始めとして、アレルギー疾患、ガンの発症にも関係していると云われ出した。それがどうして発症するのか、予防法や治療法はないのだろうか。

2.慢性炎症とは

炎症には二通りあり、急性炎症では、細菌やウイルスの侵入、怪我などによって、発生すると、体内の免疫システムが作動して、異物の排除や傷ついた組織の修復が行われて、比較的短時間で回復する。典型的な症状としては、発熱、発赤、疼痛、腫脹が現れるのが
普通。

これに対して慢性炎症とは色々な原因(後述)によって、軽い炎症が何時までもくすぶり続けて、体内の至る所で組織や内臓に異常を来す。自覚症状がないのが特徴的である。そして長期化すると、発症した場所によって、機能不全に陥る。

3.慢性炎症はなぜ起きるか

1) ひとつは肥満である。食べ過ぎや運動不足で、内臓脂肪が過剰に蓄積された場合に  は、血管の内皮細胞がコレステロールや中性脂肪によって、プラークと云われる粥状隆起が出来て、内壁が狭くなると、
血管の炎症を引き起こす。即ち血管の内壁が狭くなると、白血球が狭窄部分で鬱滞し、白血球同士が反応して、炎症性サイトカインが産生される。多くの場合この現象は細動脈で起こって、毛細血管網へと広がってゆき、臓器が炎症性サイトカインによって、慢性炎症を発症してしまう。

2) 次は「腸もれ」(リーキー・ガット・シンドローム)によって、腸内で発生した毒素、細菌、消化不良のタンパク質などが、腸壁から吸収されて、血流に乗って全身の組織、臓器に慢性炎症を起こす。
なお腸内環境が悪化して、悪玉菌が増えると、腸粘膜細胞の連結を弱めて、細胞間に隙間が出来て、腸もれか起きてしまうのである。

4慢性炎症の判定指標となるCRPとは

体内に慢性炎症が起きているか否かの判定指標にはCRP(C―リアクティブ・プロテインの略、C反応性蛋白ともいう)が使われている。この数値が高いと、体内に炎症性の疾患があることになる。通常CRPの基準値は0.3mg/dl以下である。0.31~0.99mg/dlは要注意、1.0mg/dl以上は危険視とされる。

ところが最近は高感度CRPを測定する必要性が増えてきた。それは従来のCRP検査では異常なしと、判定されていた人の中に、慢性的に微小な炎症を発症しているケースがあることが解かってきた。例えばLDL悪玉コレステロール値が低くても、CRP値が高いと、心筋梗塞や脳卒中の発症リスクが高いことが判明したからである。

5.慢性炎症が関与している主な疾病

1)がん

肉食や脂肪分の多い食事は慢性炎症を起こし、大腸ガン、前立腺ガン、乳がんを発症させる。慢性炎症が活性酸素を発生させて、遺伝子変異を起こし、発ガンに繋がる。更に慢性炎症は遺伝子編集酵素を活性化させて、ウイルス性肝炎、ピロリ菌感染胃炎、潰瘍性大腸炎がガン化する。なおがん治療の時は、CRP値が0.05mg/dl以下を目標としている。慢性炎症はがん発症の温床になっていると言われている。

2)動脈硬化

腸もれによって、血中に入り込んだ菌が腸内で炎症を起こすと、コレステロールやマクロファージ等の物質が集まり、粥状のこぶを作り、血流障害を引き起こす。と同時に炎症性サイトカインを産生し、慢性炎症が進む。

3)糖尿病

過食や糖分の摂り過ぎは体内で高血糖値状態が続くと、終末糖化産物(AGE)が蓄積して、血流障害を来すだけでなく、慢性炎症を発症し、筋肉、脂肪組織、肝臓でインスリン抵抗性を起こす。

4)その他の疾患

認知症、うつ病、花粉症やアトピー性皮膚炎、膠原病及び加齢にも慢性炎症が関係していて、これらの疾病を発症させる。

6.体内の慢性炎症を防ぐには

1)現代医学の盲点のひとつとなっている慢性炎症、まだ研究段階なのか、問題意識が希薄なのか医師間の医療体制の中には、慢性炎症の治療と云う言葉は聞かれない。

しかし我々が悩んでいる上述の生活習慣病が全て慢性炎症によって、発症していることを、知ったからには、医者に相談しても、納得のゆく 回答が得られるだろうか、疑問である。勿論慢性炎症を解消する薬などはない。

2)慢性炎症の原因にさかのぼって、因果の法則から対策を考えると。

●大 食で肥満して脂肪細胞を増やさない。
●糖分の過剰摂取をして、終末糖化産物の産生を増やさない。
●腸内環境を悪くする悪玉菌を増加させる動物食や油で処理した揚げ物、及びお菓子類を控える。
●宿便や便秘をしない。
●飲酒や喫煙を控える。
●ストレスを溜めない。
●適度な運動をする。
●食品添加物の多い加工食品を摂取しない。

以上の事をまとめると、常に述べているように、少食、3分づき玄米、生野菜汁、小魚や青魚、大豆製品、キノコ類、ゴマ、海藻類、緑黄色野菜、抗酸化食品、自家製漬物などの食事。および適度な運動をすることによって、血流を良くする。有酸素運動と適度の筋肉の強化。骨格の矯正。ストレス予防と解消の方策を自分なりに考え、実行する。

7.まとめ

1) 健康管理の要諦のひとつに、医者に治してもらう病気と自分で治す病気がある。日頃の生活習慣の間違い 暴飲暴食が招いた病気は自分で治すしかない。

2) 今回慢性炎症について、勉強して感じたことは、慢性炎症発症の機序は複雑で、専門用語が多く出てきて、 理解しにくいが、事の重大さは認識出来た。

3) 先日日本女子プロゴルフの試合の実況放送を見ていた。するとアナウンサーが女子トッププロ10人に 対してこんな質問をした。
「あなたの勝負飯は何ですか」と。すると10人中9人が焼き肉と答えていた。これを見て、まだうら若い25歳前後の選手たちが、これから少なくとも10数年以上過酷な選手生活を続けてゆくのに、健康で続けられるのだろうか、と不安にかられた。今の若い人達 が皆同じい考えを持っているとしたら、末恐ろしいことだ。

4) 百寿者や認知症にならない人はCRP値が高くないと言われている。

5) CRP値の測定は自治体の年1回の健康診断の項目にはない。慢性炎症は痛みがないから
深く静かに進行して、組織や臓器を改変して、機能不全に陥れる。難病もこれが関与
しているとか。

6)「参考図書」金子義保著「炎症は万病の元」中央公論新社発行

和田洋巳著「がん劇的寛解」角川新書発行

藤田長久著「体の不調は腸もれが原因」幻冬舎 ほか。

おわり

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