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ベジタリアン(菜食主義者)が増加  By 豊岡 倫郎 氏 2023-2-27

1.ベジタリアン(菜食主義者)が増加中

ベジタリアンというと、限られた人の食のように聞こえるが、ここ10年ほどで、世界ではベジタリアンが増加の一途をたどっている。何故だろうか。

2.ベジタリアンとヴィーガンの違い

ベジタリアンとは肉や魚類を食べず、野菜、豆類、穀物などの植物性食品を主に食する人達のことで、ヴィーガンとはあらゆる動物性食品を避けて、卵、乳製品も摂らない厳格な菜食主義者をいうが、また動物を苦しめないために、動物製品の皮、絹、毛、など身に着けないという、完全菜食主義である。なおベジタリアンには、食事制限がゆるい魚や乳製品、卵などを食する幾つかの段階に分けられたセミベジタリアンも存在する。

3.世界の国別ベジタリアン(ヴィーガン含む)人口の推定比率

インド 28%、台湾 14%、ドイツ 10%、カナダ 9%、イタリア 7%、
イギリス 5%、フランス 4%、アメリカ 7%、日本 2% となっている。

なおインドは人口14億の80%がヒンズー教で、宗教的意味合いから、比率が高いのである。一方日本は仏教の伝来以降、天武天皇(680年代)の御代に,殺生肉食禁止という詔勅が出てから、肉食をしない時代が約1300年続いたが、明治時代に入り福沢諭吉らの肉食礼賛論が肉食の普及に火を付けた。そして戦後入ってきた民主主義、経営管理、生産・品質管理などと共に、栄養管理面でも、高カロリー・高脂肪高蛋白の欧米食に慣らされて、洗脳されてしまった。今も肉を食べれば元気になる、スタミナが付くと思っている人がいる限り、日本のベジタリアン人口の比率は低いままだろう。

4.今なぜベジタリアン(ヴィーガン含む) が増えているのか

 その理由として考えられることは、

1)健康を左右するのに食生活が重要であり、肉食がガンや生活習慣病の元凶で
 あるということを一般の人にも認識されてきた。即ち健康志向の面から。
今回はこの問題についてのみ検討する。

2)動物の飼育に対する配慮や動物実験の残酷性などからの動物愛護面から。

3)畜産における温室効果ガス排出や畜産のための森林破壊などによる環境保全
の面から。

5.ベジタリアンの歴史 

1)ベジタリアンという言葉はイギリスベジタリアン協会が発足した1847年に
初めて使われた。またヴィーガンは1944年にイギリスでヴィーガン協会が創設されたときに使われたのが始まり。
このように菜食への関心は今に始まったことではない。

2)日本では当時ヴィーガンという言葉は使われていなかったが、桜沢如一氏が提唱したマクロビオティックがある。戦前、戦中、戦後と激動の時代に、玄米を主食にし、野菜や漬物などを副食として、季節、食物、身体の陰陽論の「無双原理」をもとに、食材や調理法のバランスを考えた食養である。門下生の久司道夫氏がアメリカでマクロビオティックを広め、健康推進に貢献して、政府に認められて、その資料がスミソニアン博物館に収納されている。現在は日本CI協会として活動していて、多数の実行者がいる。

3)西勝造氏が自らの体験と東西の健康法を調べ編み出して、昭和2年に西式健康法を公表した。人間が本来持っている自然治癒力を引き出して病気を予防・克服していこうとする考え方から、皮膚、栄養、四肢、精神の四大原則を基にして健康が成り立つているとする総合的健康法である。その基本のひとつの食事療法には玄米食や生野菜療法がある。この西式健康法を基本にして、自らの闘病生活の体験と50年間の臨床治験から断食少食玄米生野菜食中心にした西式甲田療法を完成させたのは、甲田光雄博士である。著書「生菜食健康法」の中の現代医学から見放された患者の治験例を読むと、現代医学の盲点として、食事療法、運動療法の不完全さに気付く。

4)二木謙三博士が玄米菜食を提唱した。東京大学医学部卒。もと東京大学医学部教授、93歳で死去。昭和30年に文化勲章受章。玄米食の普及に貢献した。著書に「健康への道」がある。

6.ベジタリアン(ヴィーガン含む)に抱く不安とは

その不安とは、栄養不足にならないだろうか、健康を維持して、無病長生できるだろうかであるが、そんな不安に答える事例を示すと。

1)静岡県三島市の竜沢寺の僧侶14名の健康調査をしたところ、1日当たりの摂取カロリーが1436キロカロリ―に対して、計算した消費カロリーは2204キロカロリーだった。これでは差引き768キロカロリーが不足している計算になるが、何年も皆元気に修行している現実がある。

2)日野原重明博士は元聖路加国際病院の院長。2005年文化勲章受章。105歳で死亡。1日当たりの摂取カロリーが1213キロカロリ―に対して、計算した消費カロリーは1725キロカロリーだった。差し引き512キロカロリー不足。ただしベジタリアンではなかったが長寿を全う。

3)森美智代先生は鍼灸師として、治療と健康指導に専念。1962年生まれ。難病の脊髄小脳変性症を西式甲田療法で克服して以来、1日に青汁150ccとビール酵母、海藻、ビタミンC、そして水分は柿茶と生水だけの生活を約30間元気に活動している。

このような例はほかにも沢山ある。これらの事実を誰も否定出来ないし、現代医学の医学や栄養学では説明がつかない現実があるにもかかわらず、更に研究して社会に、医学に生かそうとする機運は見当たらない。

7.ベジタリアン(ヴィーガン含む)の効能

1)アメリカで1977に公表された食事と健康に関する通称「マクガバン報告」によって、国民が反省したことは、今までの肉食中心の食事があらゆる病気の元凶となっていたことを認識したことだった。それ以降政府を始めとして、いろいろの機関が食事改善や菜食を推進してゆき、その効果を感じ取ったのである。要するに生活習慣病が減ったのである。アメリカでは数年前からガンに罹る人は減ってきている。ところが日本ではいま年間約100万人の人がガンに罹っている。

なお日本で今やっと肉食が大腸ガン、乳ガン、前立腺ガンの原因だと言われだした。

2)ガン以外にも心筋梗塞、脳梗塞、動脈硬化、高血圧、糖尿病、痛風、脂肪肝、アレルギー疾患などが肉食、牛乳、乳製品、卵、砂糖などの大量摂取によって発症に関係しているが、ベジタリアンには無縁の病気ばかりである。

3) ベジタリアンには肥満の人はいない。また食物繊維を豊富に摂れば便通もよくなる。肌もきれいになる。

8.まとめ

今日本は1億総半病人列島と言われている位病人が多い。この歯止めは食生活の改善しかない。しかし「食は現代医療を超えた」にもかかわらず、日本の医学界は食事療法の重要性を無視している。欧米の至る所のレストランでは、ベジタリアン用の食事が用意されている。日本の医学は食事療法の面で20年以上遅れていると言われている。     

おわり

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