▼【NPO法人健康を考えるつどいブログ】

音楽療法のすすめ By 豊岡 倫郎 氏 2023-5-29

1.音楽は生活に密着

太古の昔から人間の生活の中で、儀式や信仰に必ず音楽が取り入れられて、現代に引き継がれてきた。ギリシャの賢人アリストテレス(BC384~322年)も言っている。「音楽は人間の魂を揺り動かす効果がある」と。現代では音楽は楽しみやストレス解消だけでなく、医療効果も大きいことが分かってきた。

第二次世界大戦時に、米国は大量の傷病兵のいる野戦病院で音楽を流したり、演奏してみたところ、兵士の治癒が早まった。そして1950年に米国に全米音楽療法協会が発足して、広く社会に認知され、広まっていった。

最近では、牛に音楽を聴かせるとミルクの出が良くなるとか、トマトの栽培温室で音楽を流すと、甘みが増すとか、酒蔵では酒の醸造期間が短縮されることなどが確認されている。耳のない植物や微生物に、音が影響を与えるのだろうか。それは空気の振動がそれらの生き物の細胞内の水に伝って、周波数の合った良い音の波動ならば、細胞を活性化させるのだろうと言われている。

2.音楽療法の普及

いま日本でも音楽療法の研修、研究機関を設ける大学や自治体も増えてきている。日本音楽療法学会も出来ている。音楽療法士は、その名前の通り音楽を通して高齢者や障害者などの心身のサポートを行います。 音楽療法とは、歌を聴いたり、歌ったり、楽器を演奏したり、音楽に合わせて体を動かすなどのプログラムを実施することで、心身を整えるリハビリテーション法の一種となっている。

3.生活に溶け込んでいる音楽

音楽と言っても、聴く、歌う、演奏する、の3種類に区分けされ、自分の好きな曲を聴くのを楽しみにしている人、みんなで楽しくカラオケで歌うのが楽しいという人、また自分で好きな曲をピアノやギターで弾いて、楽しんでいる人も多い。生活に潤いを提供してくれている事間違いない。

4.カラオケ健康法のすすめ

カラオケが心身に健康効果をもたらすことが解ってきた。その効果とは・・・。

1)ストレスの解消。声を出して、好きな曲をおもいっきり、歌えば気分もすっきりする。脳が刺激されて、脳内からエンドルフィンやドーパミンなどの幸せホルモンが出て、陽気になり、ストレスも解消される。

2)筋肉を鍛える。腹の底から、腹式呼吸を意識して歌うと、腹筋や横隔膜、胸筋が鍛えられる。口先だけでなく、腹筋をへこませることを意識して歌う。内臓のマッサージにもなる。

3)ダイエット効果。腹式呼吸でカラオケを1曲歌うと、発声運動と呼吸運動、腹筋運動によって、100メートル走ったのと同じ位のカロリーを消費する。

4)血液循環を促進する。発声と呼吸、腹筋運動で血液が収縮促進して、血液循環が良くなり、心臓の働きをよくする。腹式呼吸と相まって、有酸素運動効果もある。

5)新陳代謝が良くなる。血液循環が良くなることで、血管や内臓の老廃物を浄化してくれる。

6)自律神経のバランスを整え、免疫力がアップ。歌い慣れてくると、程よい緊張とリラックス感がバランスをとって、交感神経と副交感神経が平衡するので、免疫力がアップする。

7)若返りと認知症を予防する。昔の歌を歌うと、昔のことが蘇ってきて、脳が活性化してくる。歌うことで、情景をイメージしたり、歌詞を覚えたり、音程を判断し、音感を訓練することなどして、脳を刺激し、血流が良くなって、認知症の予防になる。ある大学の研究によれば、音楽のリズムは左脳に、音色とメロディは右脳へ作用し、また前頭葉や側頭葉にも作用し、記憶力の向上につながるという。

8)歌う仲間が増えて、コミュニケーションしながら、楽しめる。

9)嚥下機能アップ。口の周りの表情筋を動かすことで、唾液が増えて、口内環境が整う。発声するとき、喉の周りの筋肉を鍛えることで、誤嚥性肺炎防止になる。

5.楽器演奏のすすめ

楽器の演奏は能動的音楽療法として、歌を歌うこと以上により健康効果が大きい。その効果とは・・・。

1)楽器の種類にもよるが、例えばピアノやキーボードの演奏では、両目で楽譜の左手と右手の二行分を瞬時に見て、両手のそれぞれの指を動かし、出た音も耳で聴きとるなどの一連の操作には、脳が今までに体験したことの無い判断が行われるから、脳の視覚、聴覚、運動野などの血流が活発となる。認知症の予防になる。

2)手を動かすことも脳の血流を良くする。手には6種類の経絡があり、ツボを刺激してくれるから、心身の働きを活性化させてくれる。

3)フルート、オカリナやハーモニカの演奏は呼吸器を動かすので、有酸素運動になる。

4)当然リズムとメロディも楽譜に合わさなければならないので、脳は休む暇がない位活性化する。記憶力も向上する。

6.音楽を聴く効果

1)一番生活に密着しているのは、音楽を聴くことである。人間が聴きとることができる周波数は20~20000Hzで、男性の話声は500Hz、女性は1000Hz位である。

2)どんな音楽を聴くと体に良いのか。高い音は脳に響き、低い音ほど腹に響くという。音と背骨は密接な関係があり、首から上の頭頂部には4000Hz以上の音が反響、頚椎は2000~3000Hz、胸椎は750~2000Hz、腰椎は250~500Hz、尾骨は250Hzに反響するから、体の癒しに応じて曲目を聞き分けるのが良い。

3)モ-ツアルトの曲は3500Hz以上の高周波が豊富に含まれていて、大脳に刺激を与えて、

副交感神経が優位になり、コントロールしている免疫系、脳神経系、ホルモン系、血液循環系の生体に良い効果をもたらす。例えばモ-ツアルトの曲では・・・。

脳神経系疾患の予防にはセレナード第13番ト長調K、血液循環系疾患予防には12のドイツ舞曲より第3変ロ長調K、免疫系疾患の予防にはバイオリン協奏曲第2番ニ長調Kなどがお薦め。

また別の作曲家の曲では、不安神経症にはベルクの抒情組曲、胃腸障害にはブラームスのピアノトリオハ長調、うつ状態にはリストのハンガリー協奏曲第2番、心身疲労とストレスにはグルックの精霊の踊りなどお薦めとなっているから、関心のある方は一度聴いてみるとよい。,

7.音楽のある生活

好きな曲を聴けば心は癒されるし、自分の好きな曲をピアノで演奏してみたいと思えば、キーボードを買って、手軽に実行に移せる。誰でもスマホやパソコンを操作できる時代になった。You-Tubeでカラオケを流して、歌が歌える。これを機会にもっと音楽のある有意義な人生を意識的に始めるのもよいのではなかろうか。

おわり

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