健康情報 By 豊岡倫郎 氏

花粉症になる人、ならぬ人 By 豊岡倫郎 氏 2024年3月30日

  1. 増え続ける花粉症の人。

毎日天気予報で、花粉情報が流れるたびに、この病気になる人、ならぬ人の違いなんなのだろうか。いま花粉症の患者が2千万人いるという。そもそも人間の体には、自然治癒力とか、免疫力とか、ホメオスタシス(恒常性維持機能)とかが備わっていて、怪我したり、外部から異質なものが入ってきたり、感じたりすると、治したり、排除したりすることができる筈。現代医学は進歩したのに、花粉症は治せないのは何故だろうか。

  1. 花粉症はアレルギー症状の一種

アレルギーとは何か、それは体に何か物が入ってきたとき、それに対して体内で起きる過敏な反応であって、そういう反応の持ち主をアレルギー体質の人と呼ぶ。アレルギー体質の人の血清にはアレルギー反応を起こさせる特別な物質があり、それを免疫グロブリン、すなわち抗体という。これにはいくつかの種類があるが、ここでは通称IgEという抗体が関係するⅠ型アレルギー性疾患について述べる。またアレルギー性疾患を引き起こさせる物質をアレルゲン、すなわち抗原と呼ぶが、これらの物質には、花粉、ダニ、ハウスダスト、動物の毛、卵、牛乳、魚、大豆、化学物質、その他いろいろあり、人体の皮膚、呼吸器、食道から腸などから体内に入ってゆく。

アレルギー反応発症のプロセスは次のとおりである。アレルギー原因物質の抗原が体内侵入 → 抗原提示細胞が抗原捕獲 → 抗原提示細胞が免役反応を起こす → Th2細胞が活性化 → インターロイキン4が産生 → B細胞にIgE抗体を作らせる → アレルギー反応発症。

ただ抗原提示細胞が免役反応を起こすときに、Th2細胞が活性化だけでなく、一方でアレルギーを抑えるTh1細胞も活性化させるが、その働きがTh2細胞よりも弱い時に、アレルギー反応が起きる。

一般的な療法は主に対処療法であって、根本的な治療法はまだ確立されていないのが実情である。その証拠に患者数は減らないし、逆にどんどん増加していることが如実にそのことを証明している。そんな中で、いくつかの有効な少数派の治療法を紹介する。

  1. 西式甲田療法。

大阪大学医学部卒業、故甲田光雄博士著「腸をキレイにする」日経ヘルス発行。この本で紹介されている内容は、アレルギー疾患を患っている人は、腸に宿便をためていて、腸管内に異常発酵や腐敗が続き、その為に産生された有害物やガスのため、胃腸粘膜にビランや微細なキズが出来て、その結果タンパク質が最終段階まで分解されず、分子が大きな状態で腸壁から吸収されてゆく。その結果体内では異物として、アレルゲンとなって、反応を起こす。すなわち花粉やハウスダストも鼻やのどの粘膜から鼻汁やたんと一緒に食道に入り、腸壁から体内に吸収されてゆき、反応を起こす。即ち「腸モレ」である。従ってもはやこれらアレルゲンとなりうる物質を防ぐことは不可能であるから、腸壁の炎症を治癒させて、侵入を防ぐ治療法である。長年多くの患者の治療法として実施してきた西式甲田療法によって、アトピーであれ、花粉症であれ、治療効果を上げた。具体的には甲田医院に、1995年と1998年の2度にわたり、子供たち、夫々20名、17名が入院して、現代医学の皮膚科の先生方も驚く成果を上げたのだった。その内容は「医事新報」や日本アレルギー学会総会でも報告された。

4.リーキーガット症候群(腸漏れ症候群)が関与

最近「腸モレ」が話題になっている。参考としたのは下記の通り。

江田 証著「長生きのためのあ新しい腸活」自治医科大学大学院卒、江田クリニック院長

藤田紘一郎著「隠れ病は腸もれを疑え」、東京医科歯科大学名誉教授。

藤田長久著「体の不調は腸もれが原因」 新潟大学医学部卒。茜会理事長。

これらの著書によれば、アレルギーばかりではなく、万病のもととなる、という。即ち腸内環境が悪いと、腸粘膜の細胞が疲弊して細胞同士のつながりが壊れてスカスカなって、病原菌や未消化のたんぱく質、毒素がそこから血管内に入り込み、体内に慢性炎症を起こすという。

2014年に報告されたのは、健康な人の50人に2人の血液中から生きた腸内細菌が見つかった、という。また糖尿病患者の50人中14人の血液から生きた腸内細菌が発見された、ことも報告された。腸もれがアレルギーや免疫機能を狂わす要因となっている。

5. 次に紹介するのは。土佐清水市の土佐清水病院院長の故丹羽靭負(ゆきえ)著「アトピーがぐんぐん良くなる本」京都大学医学部卒業。知る人ぞ知る活性酸素の世界的権威で、活性酸素除去酵素(SOD)の開発者として有名。アトピーの主因は活性酸素である主張している。活性酸素発生の要因として、上げているのは加工食品、紫外線、放射線、医薬品、食品添加物、粉じんや排気ガス、酒、たばこ、ストレス、便秘、過労などで活性酸素が体内に過剰となった状態で、欧米食の肉食や油を使った食事によって、体内で活性酸素が産生して、脂肪分が過酸化脂質に変わる。するとアルデヒド基が角質層の保湿機能を破壊して、乾燥肌となり、アトピー発症につながるという。もちろん他のダニ、ハウスダスト、食品アレルゲンの関与も否定していない。

アトピー症の症状も単純なものから紅斑,肥厚苔癬、落屑、結痂、皮疹炎症、糜爛、皮膚萎縮、結節性痒疹などある。

6.アトピーや花粉症になる人、ならぬ人の違い

前述した本やその他の資料を調べた結論として、こんな人が罹り易いと言えるだろう。過食や偏食で胃腸を酷使してきた。便秘や宿便停滞で、腸壁が糜爛している。悪玉菌で腸内環境が悪い。卵、肉、乳製品や油を使ったフライなどを摂りすぎ。冷たいジュース、アイスクリームやビールなどの摂りすぎ。

生活環境面では、排気ガス、粉じん、ハウスダスト、ダニ、花粉など。および薬品、洗剤、化粧品、農薬、食品添加物、マーガリンの入ったパン、店屋物フライなど。疲労や睡眠不足、ストレス。自律神経のバランスが崩れて、副腎の働きが弱い。甘いジュース、お菓子類、コーヒー、チョコレート摂取など。

6.アレルギーに強い体質を作るには。

前項で指摘した悪い生活態度の反対のことを行うことである。即ち、腸をきれいにする。腹7分の少食と生野菜汁を摂取し、便通をよくする。糜爛のない腸壁にする。活性酸素の体内発生の少ない生活を心がける。高脂肪、高たんぱくの欧米食から和食へ。タンパク質の消化不良、腐敗は怖い。甘いもの、冷たいものは避ける。規則正しい生活、疲労や睡眠不足、ストレスのない生活へ。全身運動となる健康体操をする。空気のきれいな環境に住む。

7.まとめ。

1)連日テレビでは、やれグルメだ、スイーツだと騒いでいる。大食い番組は止めてほしい。「内皮は外皮に通じる」という言葉がある。アトピーや花粉症は腸内の粘膜の悪化が皮膚の表面に出てきたのである。腸壁のただれと腸もれを治すことがまず先決である。

2)腸漏れ、腸マヒ,腸びらんになっている人の前兆・・・●肥満の人●冬になると足のかかとがザラザラしている人●野菜をたくさん食べる人●ピーナツ、豆類を多く食べる人●ほっぺたがリンゴのように赤い人●足が冷えたらお腹が痛くなる人●指の爪に三日月がない人●頭が重く、ふらつく人などは要注意です。

3)「腹も身の内」と言う諺の通り、暴飲暴食はいけない、消化器を酷使していて、体の悲鳴が聞こえないのだろうか。現代医学の盲点は食事療法を無視している限り花粉症は治らない。

おわり

 

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