日中はまだ汗ばむほど暑いのに、朝晩は少し肌寒い。そんな気温差の大きい秋こそ、温活の始めどきです。
寒くなってからでは、すでに体が冷え切ってしまい、冷えや不調を感じやすくなります。冬に備えて今から体をじんわり温めて、冷えにくい体づくりを始めましょう。
1.冷えによって起こる症状は?
冷えによって、頭痛や肩こり、腰痛、腹痛、便秘、下痢、むくみ、頻尿、めまい、不眠、しもやけ、風邪をひきやすいなど、全身のさまざまな不調を引き起こすことがあります。
冷えの原因として、自律神経の乱れがあります。ストレスや不規則な生活によって自律神経の働きが乱れると、体温を調節する信号が全身にうまく伝わらなくなります。
また、夏のエアコンなどによって一定の温度で過ごす環境に慣れすぎると、気温の変化に対応しづらくなり、皮膚の温度感知機能が低下してしまうこともあります。
さらに、低血圧や貧血などで血の巡りが悪いと、温かい血液が体のすみずみに届きにくくなり、結果として慢性的な冷えを引き起こします。
2.秋から温活が必要な理由
昼夜の寒暖差が大きくなる秋は自律神経が気温の変化に追いつかず、体温調節のバランスが崩れやすい時期でもあります。体のリズムが乱れることで、冷えを引き起こし、だるさや疲れやすさなどの不調が出やすくなります。
また、秋は昼間はまだ汗ばむほどの気温であっても、朝晩は一気に冷え込むことがあります。それにもかかわらず「まだ暑いから」と薄着のまま過ごしていると、気づかないうちに体が冷えてしまうのです。
そのため、秋のうちから体をじんわり温めて、冷えに備えておくことが大切です。
3.まだ暑い秋から始めたい温活習慣
本格的な寒さが訪れる前に、日常の中でできる温活で冷えに負けない体をつくりましょう。特別な道具や時間をかけずにできる、簡単な温活をご紹介します。
①起床後すぐに温かいお茶を飲む
人の体温には日内変動があり、早朝は1日のうちで最も低くなります。そのため、朝起きたらまず一杯の温かい飲み物で、冷えた体を内側から温めることが大切です。
白湯や柿茶などのカフェインレスティーをゆっくりと飲むことで、冷えた内臓が温まり、血行が促進されます。
②効果的な足湯で体の芯から温まる
ふくらはぎは“第2の心臓”と呼ばれるほど、血液を全身へ押し戻す大切な働きをしています。足湯でふくらはぎを温めると、温まった血液が全身を巡り、自然と深部の体温が上がります。
足湯の方法は、バケツに42〜44℃ほどのお湯をため、ふくらはぎの中ほどまで浸けます。お湯が冷めてきたら、43〜45℃程度の差し湯をして温度を保ちましょう。10〜15分ほどを目安に行うと、体がぽかぽかと温まり、冷えの改善に役立ちます。
特に寝る前の足湯は、体がリラックスして深い眠りにつながるのでおすすめです。
③お風呂上がりに「シャワーお灸」
お尻の割れ目のすぐ上あたりの「仙骨」を温めることで血行が促進され、子宮まわりや内臓の血流アップを期待できます。
方法は、入浴後に「やや熱い」と感じる40℃以上のシャワーを30秒間仙骨に当てます。シャワー後に湯船につかったり全身にシャワーを浴びると、集まった熱が分散して効果が下がるのでお風呂場から出る直前に行いましょう。
④冷えに効くツボ押し
冷えに効果的なツボとして、足の内くるぶしの頂点から指幅4本分の位置にある「三陰交(さんいんこう)」があります。ツボ自体が冷えていたり、押すと痛みを感じるときは、冷えのサインと考えられています。ゆっくりと息を吸いながら静かに押しましょう。
また、足裏の中央の、指を曲げたときに一番くぼむ場所「源泉(ゆうせん)」は、名前の通り生命力が沸き起こる源泉といわれており、血流を促すツボとして知られています。両手の親指でゆっくりと押しましょう。
⑤冷えない体をつくる「下半身の運動」
.冷え対策には、下半身の筋肉を鍛える運動が欠かせません。特にスクワットや早歩きなどのウォーキングは、下半身の筋肉を効率よく使うことができ、血流を促進します。買い物など普段の生活は早歩きを心掛けてみましょう。
冷えによって体の水はけが悪い状態になると、下半身に水分が溜まりやすくなります。その水分をポンプのように上半身に戻してくれるのが筋肉です。 筋肉量が増えることで、冷えにくく代謝のよい体を保てます。
4.体の巡りを助ける栄養素「ビタミンE」
温活をサポートする栄養素として注目したいのがビタミンEです。ビタミンEは血行を促し、体のすみずみまで酸素と栄養を届けてくれる巡りのビタミンです。アーモンドやかぼちゃ、アボカド、大根の葉、柿の葉などに多く含まれるため、食事から意識的にとりましょう。
5.まとめ
冷え対策は、寒くなってからでは遅れがちです。まだ暑い秋のうちから、少しずつ温活を取り入れることで、冬の冷えに負けない土台がつくられます。
体を温めることで、血を巡らせ、気を整えることができます。今日からできる簡単な温活習慣で秋のうちに体の巡りを整えて、冷え知らずの冬を迎えましょう。
【参考】
健康管理事業センター「冷え性とは?」
京都府国民健康保険団体連合会「からだを温めよう!」
中野区医師会「「冷え」に悩むあなたへ」
一般社団法人 秋田県医師会「「足湯」のススメ」