「何を食べたら体に効くのか」「この栄養素が不足すると不調になる」など、現代の健康情報は、“いかに栄養をとるか”という視点のものがほとんどです。
そのため、たくさん食べることが健康につながるというイメージを多くの方が自然と持っているのではないでしょうか。
しかし一方で、食べる量を減らすことが、体を整える力になるという考え方もあります。
ここでは、食べる内容だけでなく、「食べる量」に目を向けた少食の考え方と、無理なく続けるためのポイントについてご紹介します。
1.食事量を減らす効果
私たちの胃や腸には、処理できる量に限界があります。その能力を超えて食べ続けると、腸内で消化しきれないものが渋滞し、腐敗や異常発酵を起こしやすくなるのです。少食によって得られる効果やメリットを解説します。
■胃腸の粘膜を修復
食べ続けている状態では、胃腸は常に働き続けて、傷ついた粘膜を修復する時間が取れません。「野菜ならたくさん食べても大丈夫」と思いがちですが、量が多すぎれば、腸内で発酵しすぎて腸を荒らすことになります。
食べる量を抑えることで、胃腸は本来の処理能力を取り戻し、働きそのものが高まっていきます。
■免疫力アップ・アレルギー対策
腸は、人体最大の免疫器官といわれています。そのため、腸の粘膜が荒れていると、花粉症やアレルギー症状が出やすくなる人も少なくありません。
腸内環境を整えることは、免疫力の維持やアレルギー対策にもつながります。
■便秘改善・老廃物の排出
消化管ホルモン「モチリン」は、空腹の時間があってはじめて分泌されるといわれています。そのため、常に食べ続けている状態では、モチリンによる腸の掃除が起こりにくくなるのです。
少食によって空腹の時間をつくることで、便通が整いやすくなり、農薬やダイオキシン、宿便など体内にたまった老廃物の排出も期待できます。
■美肌
肌の調子を整えるうえで大切なのは、溜め込まないことです。腸内環境が整い、不要なものがしっかり排出されることで、肌のコンディションにも良い影響が期待できます。
■環境への負荷を減らす
食事量を減らすことは、個人の健康だけでなく、食料資源の使い方を見直すことにもつながる考え方です。
日本ユニセフ協会によると、世界では約6億7,300万人が飢餓状態といわれており(2024年時点)、食糧不足は深刻な課題となっています。
食事量を減らすことは、必要な分を必要なだけいただくという考え方です。体を整えると同時に、食べ物の背景や、命・資源について考えるきっかけにもなるでしょう。
2.健康増進・ダイエット目的で食事量を減らすのは成功しない?
「健康になりたい」「ダイエットしたい」などの自分の目的だけで食事量を減らすと、どうしても我慢の意識が強くなり、長続きしにくいものです。
続けるためには、「できるだけ多くの命を奪わずに生きたい」「食べ物の命を大切にいただきたい」といった、自分なりの価値観や想いを持つことも大切です。
食べ物の命をいただいているという感謝の気持ちを持つことで、自然と食べる量を減らせるでしょう。
3.食事量を減らすポイント
食事量を減らすにあたって大切なのは、体の声を聞きながら、少しずつ食べ方を整えていくことです。無理なく食事量を減らすために、意識したいことをご紹介します。
焦らない
体に良いと知って、いきなり食事量を大きく減らすと、強い空腹感に耐えられず、反動で食べ過ぎてしまいます。そのため、いきなり朝食を抜くなどの方法はおすすめできません。長期的に続けるためにも、焦らず段階的に進めることが大切です。
禁止しない
「今日から甘いものは禁止」「これからは○○は食べない」などの禁止ルールを設けると、ストレスを生み、かえって欲求を強めてしまいます。無理に禁止するのではなく、少しずつ量を減らしていきましょう。
食べ物の「質」を高める
量を減らすほど、食べるものの質が重要になります。
- 白米より玄米・発芽玄米
- 白砂糖より黒糖
- 大きな魚より、内臓や骨まで食べられる小魚
- 生野菜、海藻、ごま、豆類を食べる
- 油は加熱すると酸化するため、サラダなどにそのままかける
- マグネシウムなどのミネラルを含む自然塩を選ぶ
体が本当に必要とするものを選びましょう。
水1リットル・柿茶1リットルを飲む
排出を促すためにも、1日あたり水1リットル+柿茶1リットルを目安に飲みましょう。朝に500mlほど、日中は数回に分けて飲むのがおすすめです。
ただし、食事中や食後すぐに水を飲むと、胃液を薄めてしまうため避けましょう。
4.食事量の調整方法
食事量を減らすのは、①〜③を約1年かけて、ゆっくりと進めていきましょう。
①夜食・間食を減らす
まずは、夜食や間食を少しずつ減らします。慣れてきたら、自然にやめていきましょう。
②夕食を減らす
次に夕食を減らします。腹7分目で夕食を満足できるようにします。
③朝食を減らす、午前中は水分中心に
夕食を減らしたら、朝食を軽くしていきましょう。午前中は水や柿茶を500mlを目安に飲むようにします。
④半日断食・1日断食
朝食を減らしたら、月に1〜2回、朝食をやめる半日断食や1日断食を取り入れても良いでしょう。
前日の夕食から次の食事まで18時間以上空けることで、胃腸の粘膜修復が進みやすくなります。その際は、睡眠中に失われた水分を補うため、朝に水や柿茶を飲みましょう。
5.まとめ
食事量を減らすことは、胃腸を休ませて体が本来持つ力を引き出す習慣です。無理なく、段階的に、自分のペースで取り入れながら、食べる量と上手につき合っていきましょう
参考:日本ユニセフ協会「ユニセフなど新報告書 世界の飢餓、減少傾向の一方 アフリカと西アジアでは増加 SDGs目標2の達成、極めて困難」



