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光線療法の話 By 豊岡 倫郎 氏

1.あきらめないもうひとつの治療法がある

1)病気の見舞いで総合病院へ行くと、待合室は患者で溢れている。どうしてこんなに病人が多  いのだろうか。高齢者が増えたからだけではないようだ。高血圧にしても、高脂血症にしても、糖尿病にしても、服薬しても根治するわけではなく、症状を緩和するだけで、ずーっと飲み続けねばならないという。これでは病人は減らない。

2)そもそも病気には必ずその誘因となった原因がある。それに対する対応策を怠り、薬だけでその病気を治そうとすること自体に矛盾がある。悪いことを止めれば病気は治る筈である。

3) 世の中には色々な健康法や治療法がある。今回取り上げた光線療法も現代医学では採用されていない治療法ではあるが、現代医学の治療を受けているが、いまひとつ先が見えてこない人には、一筋の光明が射すことも大いに有り得る。

2.光線療法の歴史

古来より太陽の熱と光には、病気の予防や治療に効果があることが知られていた。1895年にデンマーク人のニールス・フインゼンがカーボンを燃やして人工光線を発する太陽灯を開発して、その光を患部に照射して、皮膚結核からくる尋常性狼瘡を治し、多くの患者を救った。その功績により、1903年に第三回ノーベル賞を受賞した。

日本では1908年に輸入品のニールス・フインゼンの開発したカーボン・アーク灯が、東京帝国大学皮膚科の土肥慶造博士によって、最初の光線療法として治療が試みられた。しかしその後は現代医学の主流から光線療法は外れてしまい、昭和の初期には、もっぱらこの輸入された光線治療器を使って、民間にて光線療法がおこなわれ、評判となり普及していった。

3.国内での光線治療の普及と国産光線治療器の開発

昭和6年頃に千葉県の佐原で穀物商を営んでいた黒田保次郎氏が42歳の時、得意先の役場の収入役の高城さんが千葉医科大で胃がんの末期と診断された。更に東京帝国大学の塩田博士の診察を受けたが手術不可能で、余命一か月と言われた。そして東京の親せきに泊まった際に、親戚の主人が築地に太陽光線治療で難病を治して評判の所があるというので、受けてみることになった。

そして約二か月間に40回照射を受けたところ、人力車から電車で通えるようになり、普通食が食べられるようになり、3か月後には役場に復帰した。薬は飲まず、注射一本打たず、光線治療のみで、奇跡的に治ったのである。

また黒田保次郎氏は甥が脊髄瘻に罹り、歩行困難で、駿河台の有名な佐野病院に入院していたが良くならず困り果てていた。そこで東京にあった光線治療所を訪ねて、光線治療器を分けてもらい、甥の治療に使用したところ、一か月後には病状は好転した。そして近所の困っている病人にも治療して喜ばれたのを機に、東京の日本橋に治療所を開いた。その後黒田保次郎の子息がドイツの光線治療器に改良を加えて、家庭でも使える光線治療器を開発した。そして現在は孫の黒田一明氏が財団法人光線研究所とその付属診療所の所長となって活動している。

一方もう一つの流れとして、昭和7年に宇都宮義真氏が病弱な長男義和に光線治療器を用いて、治療を行い、その卓越した効果に感銘を受けて、生涯の生業とすることを決意して、翌年東京の芝白金台に光線治療所を開設した。そして昭和9年には光線治療器を独自に開発した。その後二代目を宇都宮光明氏が継ぎ、現在は三代目の宇都宮正範氏が社名を株式会社東京光線メデイカルと、その付属治療所をサナモア治療院ソレイユとして開設している。

このふたつの会社はもう80年以上の歴史と豊富な治療経験を積み、現代医学の盲点となっている部分を補完して、人々に喜ばれ、貢献している。なお黒田一明氏は日本大学医学部を卒業し、また宇都宮正範氏も医学博士として、現代医学の医師の資格を持ちながら、光線治療による診療と治療にあたっている。

4.光線の種類とその働き

我々が自然界から何気なく、当たり前だと思って受けている恩恵には、光、空気、水がある。空気の酸素も水も太陽の光が無ければ、産生されない。

1)太陽光の内訳

赤外線(不可視光線) 5000mμ~800 mμ(ミリミクロン) これは波長の単位を示す。

可視光線 赤    800 mμ

橙     ↑

黄     |

緑     |

青     |

藍     ↓

紫    400 mμ

紫外線(不可視光線) 400 mμ~300 mμ

2)光線の作用

赤外線・・・目に見えない、波長が長い、透過力が強い、暖かく感じる、物体に吸収されて、熱エネルギーに変化する、痛みをとる、新陳代謝を活発にする。

紫外線・・・目に見えない、波長が短い、殺菌作用がある、痛みをとる、強い化学反応を生じる、体内にビタミンDを生成する、透過力がない、熱作用がない。

可視光線・・プリズムで分光すると7色に見える、視力を生じる、内分泌を調節する、熱作用と化学作用がある、

3)人口光線の発光原理

光線治療器の発光原理はプラス・マイナス双方の電極にそれぞれ炭素棒をセットして、軽く先端を接触させて、電流を流すと先端でスパークする。そして数ミリ先端の間隔を開けると、安定した光線が継続的に発光し続ける。これは人工的に作り出した理想的な太陽光線といえる。

なお炭素棒には金属元素が含まれていて、赤外線、紫外線、可視光線の発生比率を考慮して、上述の2社では独自の種類と本数を用意している。疾病の種類や使用目的に応じて、炭素棒を使い分けしている。

また紫外線の比率は1~2%程度で体に害を与えるものではなく、逆に最近はその働きが見直されているという。

5.光線照射器の種類

写真左は丸型で在来型のタイプに対し、右のものは二本のカーボン棒の間隔の調整を自動的に行う。照射時間のセットもできるので手間がかからない。使用電気量は100ボルト、300W位。価格は丸型家庭用は12万円位、角型自動式は52万円位。なおカーボン棒は消耗品なので、補充が必要。

前述の黒田一明氏の財団法人光線研究所と付属診療所の製品の総発売元は、(株)コウケントーで、商品名はコウケントーという名前で発売している。

一方宇都宮正範氏の(株)東京光線メデイカルと、治療所のサナモア治療院ソレイユのものは、(株)東京光線メデイカルが上場会社で、資本金641億円の電子製品メーカーのイビデン(株) 本社岐阜県大垣市の協力関係のもとに、開発製作していて、製品はサナモアという商品名で発売している。

なお写真の丸型のタイプは二社とも発売しているが、写真右の角型の自動式は(株)東京光線メデイカルのみ発売している。他にも後発メーカーとして数社から類似品が出ているようだ。

6.照射部位と照射時間

照射は直接肌に当てる。基本照射として、まず足の裏は必須、あと膝、腰、腹など。患部照射は患者の疾病によって決まる。照射時間は基本照射部分は5~10分。患部照射は15分から40分位。基本的に一日に一回。症状に応じて一日に3回必要なこともある。これは一例で、詳細は各メーカーのマニュアルがあるので要参照。

7.多彩な人工光線の効能

  • 光化学作用・・・皮膚内に働きかけて、生体内に様々な物質を作り出す。
  • 深部温熱作用・・・生体への浸透力は15cmにもおよび、局所の血流量を増加させて、冷え症、しもやけ、低血圧などの予防と治療に効果。体温が上がる。
  • 生体リズムの調整・・・可視光線は眼を通過して、網膜に到達すると、脳神経を介して、メラトニンの分泌を調節する。メラトニンは脳下垂体に作用して、生体リズム、体の成熟、高血圧、免疫機能、抗酸化作用など多くの機能に関与してゆく。
  • 鎮痛・消炎作用・・・深部への温熱作用によって、患部の血流を良くして、痛みの原因物質を除去し、また患部の炎症をも鎮めてくれる。
  • 免疫調節作用・・・ビタミンDを生成し、カルシュウム代謝を介して、免疫機能を高める。昨今原因不明の免疫異常による難病が多発しているが、免疫調節機能の応用範囲は広い。
  • 毒素を無毒化・・・輻射熱で赤ちゃんの黄疸、食中毒、薬物中毒、アルコール中毒も、肝臓や腎臓の働きを活発にして、解毒作用を促進する。
  • 自律神経を調節する・・・熟睡できる。精神が安定する。
  • 新陳代謝が促進される・・・血流が良くなり、老廃物を排除し、栄養を補給し、新陳代謝が促進される。
  • 殺菌作用・・・血液の殺菌作用を高めて、感染症の予防や治療になる。白血球の食菌作用を増やす。傷口を無菌状態にし、すり傷、切り傷、やけどが治る。
  • 食欲増進作用・・・生理活性物質のヒスタミン類似物質が出来て、胃や腸に働きかけて、食欲が増す。
  • ヒート・ショック・プロティン、通称HSP(熱ショックタンパク質)効果・・・温熱作用で体内のほぼすべての細胞が持っているHSPに働きかけて、NK細胞を活性化させることで、免疫力の強化、傷ついた細胞の修復、コラーゲンの減少の抑制、代謝を活発にし脂肪を燃やす、メラニンの生成を抑制、タンパク質の更新や分解の促進など幅広い効果があることが判明。このHSPには分子量によっていくつもの種類があり、特に注目されているのは、免疫細胞の正常か、或いは異常かの識別処理機能が注目されている。

8.好転反応(陽性反応ともいう)が出ることがある

好転反応とは病気が治癒してゆく過程で発生する一時的な反応のことで、一見病状が悪化したのではないかと、勘違いする人が多い。漢方ではこれを瞑眩(めんけん)と呼んでいる。
その人の体質や病気によって異なるが、例えば、発疹、皮膚が剥ける、眠い、だるい、痛くなる、皮膚が赤くなる、膿が出る、頭痛がする、めまい、便秘する、ガスが出る、腫れる、腹痛、吐き気、下痢、発熱など様々であるが、そんな時は照射回数や時間を短くするなりして、様子を見ながら、中止せずに継続するとよい。

9.広範囲な適用症状

  • 何故万病に効くかと言えば、本来体が持っている自然治癒力や免疫力、恒常性維持機能を活性化させるからである。すなわち血液循環をよくする。新陳代謝をよくする。白血球の活力が増す。
  • 体温が上昇する。
  • 殺菌力が増す。消化吸収が良くなる。解毒作用がある。
  • 副作用がない。
  • 光線治療器を家庭に備えれば、常時使える。通院しなくてもよい。
  • 高齢者が抱える病気に広範囲に対応できる。生活習慣病から免疫性疾患、アレルギー性疾患、腰痛、ひざ痛、便秘、頭痛、肩こり、睡眠障害など、その適用範囲は広い。

10.まとめ

1)ここまで読まれてきて、皆さんの疑問点は、何故こんな治療法が病院で採用しないのだろうかということだとおもう。もう一点は光線を照射するだけで果たして現代医学でも治らないような病気が良くなるのだろうかという疑問である。この二点と同じ疑問が玄米食療法、生野菜汁療法、断食療法などでも幾度となく言われてきたことである。現代医学は運転免許に例えると、限定付き運転免許だと言える。治療範囲が限られている。だからあきらめないでもう一つの治療法として、光線療法を検討する価値は大いにありうる。

2)この光線療法に限らず、昔から温熱とか加熱療法はいくつもある。温泉療法もいま前述のHSPの効果の面から注目されている。

3)冷え症や低体温の人が増えている。これがガン患者の増加原因のひとつと言われている。血行の悪いところにガンが宿ると云うから、病気の予防の観点からもおすすめできる。

4)光線療法は歴史が古く、全国いたるところに治療所があるし、家庭で光線治療器を所有している人も多いし、体験者も多い。いわゆるエビデンスもある。

5)これを機会に関心を持たれた方は下記の参考書を一読されると良い・

  • 光線治療物語 光線治療症例116 著者黒田保次郎 光線研究所発行
  • 続光線治療物語 光線治療症例195 著者黒田保次郎 光線研究所発行
  • 光線療法学 著者宇都宮光明 (株)健康と光線社発行
  • まんが サナモア光線療法 宇都宮光明監修 (株)健康と光線社発行
  • 治療中の体験様子はインターネットのYouTubeで見ることができる。

6)無知は死を招くという言葉がある。情報化社会といえども、我々の知らない事や体験しないことがいくらでもある。大事なことは、知ろうとしない人には出会いやチャンスは訪れない。

7)いま「体に悪いことを止めれば病気は治る」という本が出ている。たとえ威力ある光線療法といえども、悪い生活習慣を改めない限りはその効果を得れられないだろう。

おわり

2018-7-20   豊岡倫郎

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